広島の遺産分割・遺言・相続税は、遺産相続に強い私たち弁護士・税理士・FP(広島市中区)にお任せください。専門家が相続の問題に共同して対応します。

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遺言の基本

遺言は、「ゆいごん」または「いごん」と読みます。

遺言には、故人の生前の意思が書かれています。例えば、不動産は長男に相続させ、預貯金は次男に相続させる、といった内容です。(平成30年民法(相続法)改正により、遺産分割方法の指定として特定の財産を特定の相続人に相続させる内容の遺言を、「特定財産承継遺言」と呼ぶことになりました。)

遺族は、基本的に遺言に従った対応をすることになります。

遺言と似たものに、故人のメッセージが記された「遺書」があります。遺書は、(内容にもよりますが)法的な強制力があるとは限りません。法的効力がない遺書であれば、遺族には遺書の内容に従う義務はありません。

法的効力をもたせるには、法的な要件を満たす「遺言書」を作成する必要があります。なお、「遺言書」には、法的な効力とは無関係のメッセージを記載することも、許されています。

遺言の種類

遺言には、いくつか種類があります。実務上利用頻度が高いものは、①自筆証書遺言、②公正証書遺言、の2つです。

①自筆証書遺言:遺言者が遺言書の全文、日付、氏名を自書(自筆)し押印して作成する遺言。ただし、平成30年民法(相続法)改正で、遺言書添付の財産目録は自書でなくても良いとされました。

②公正証書遺言:遺言の内容を公証人に伝え、公証人がこれを筆記し公正証書による遺言書を作成する遺言。

 

2つの遺言のメリット・デメリットは、次の表のとおりです。

基本的に、②公正証書遺言をおすすめしておりますが、平成30年民法(相続法)改正で導入された自筆証書遺言の遺言書保管制度を利用することで自筆証書遺言のデメリットの一部が解消されました。そのため、どちらの方式を選択するかについては、事案ごとに判断する必要があります。

どちらの方式を選択するにせよ、遺言書の内容を決定するには専門的な判断が必要です。私たちにご相談いただいた場合、弁護士と税理士が、ご依頼者の方から詳しい事情をお聞きして、法務・税務の観点を踏まえた遺言書案を作成します。公正証書遺言を作成する場合には、公証人役場に出向く必要がありますが、それが難しい方の場合には、出張対応により、ご自宅や入院先の病院などでも公正証書遺言を作成することができます。

(広島県の公証役場は、広島市、東広島市、呉市、尾道市、福山市、三次市の6か所にあります

 公正証書遺言(おすすめ)自筆証書遺言
メリット
  • 遺言が無効になるおそれが低い。
  • 遺言書は公証役場で保管されるため、捨てられたり隠されたりすることがない。
  • 家庭裁判所での検認を受けなくて良いため、相続開始後すぐに相続手続にとりかかることができる。
  • 手が不自由で字が書けなくても、作成することができる。
  • 相続開始後、相続人が公証役場に行くことで、遺言を確認できる。(昭和64年1月1日以降に作成された遺言であれば、最寄りの公証役場において全国の公証役場にある遺言書の調査が可能です。それ以前に作成された遺言は、作成された公証役場に直接照会する必要があります。)
  • 紙とペンと印鑑があれば、いつでも作成できる。
デメリット
  • 公証役場の手数料がかかる(遺産に応じて決まるが、数万円程度のことが多い)。
  • 証人が2名必要(但し、適当な人がいなければ、弁護士や公証役場に用意してもらうことが可能)
  • 法律の定めるルールに違反すると、遺言が無効になる。(※1)
  • 遺言書が捨てられたり、隠されたり、死後に発見されないおそれがある。(※1)
  • 相続開始後に、家庭裁判所(※2)で検認を受けなければならず、その手続のための数か月間、相続手続が中断する。(※1)
  • 検認の申立てには、遺言者や相続人全員の戸籍謄本等が必要なため、手間がかかる。(※1)

(※1)平成30年に「法務局による遺言書の保管等に関する法律」(通称、遺言書保管法)が成立し、令和2年7月10日から施行されています。この遺言書保管法の要点は、次の3点です。①法務局が自筆証書遺言の遺言書を保管する、②家庭裁判所の検認手続が不要になる、③法務局の遺言書保管官が自筆証書遺言の方式に適合しているかについて外形的な確認をする。
遺言書保管制度を利用する場合でも、遺言書の内容の確認はされません。どのような内容・文言の遺言を作成するかについては、弁護士などの専門家に相談されることをお勧めします。
(※2)広島県にある家庭裁判所には、広島家庭裁判所(本庁)、呉支部、尾道支部、福山支部、三次支部があります。

遺言の内容の変更、撤回

いったん遺言を作成したものの、その後気持ちが変わり、遺言の内容を変更したり、遺言を撤回したいと思うこともあります。

この場合、遺言を作成した方は、いつでも何回でも、遺言の内容を変更したり、撤回することができます。

 

遺言の撤回の方法には、次のものがあります。

  • 遺言を撤回する趣旨の遺言を、新たに作成する。
  • 以前作成した遺言と内容が食い違う、新たな遺言を作成する。
  • 以前作成した遺言の内容と食い違う法律行為をする。
  • 故意に、遺言書を破棄する(自筆証書遺言の場合)
  • 故意に、遺贈の目的物を破棄する。

 

遺言が複数見つかった場合には、新しい遺言が優先します。したがって、古い遺言と抵触する新しい遺言がある場合には、新しい遺言が優先し、古い遺言は抵触する範囲で撤回されたとして取り扱われます。ただし、実務的には、新しい遺言と古い遺言の内容が抵触しているかどうかをめぐり争いが生じることもありますので、古い遺言を撤回したいのであれば、その旨をはっきりと記載する方が良いといえます。

認知症の方の遺言

遺言を作成するには、遺言能力が必要です。この遺言能力は、遺言について判断することができることをいいます。

認知症の方が作成した遺言の場合、遺言能力がなかったとして、後に遺言が無効であると主張されることがあります。裁判になると、遺言無効確認訴訟として争われることになります。

しかし、認知症だからといって、必ずしも遺言能力がないわけではありません。認知症の方でも、その症状の進行具合や遺言の内容によっては、有効な遺言を作成できる場合はあります。

公正証書遺言を作成する場合には、公証人が遺言者の判断能力を確認しますので、相続開始後に遺言の有効性が争われるリスクが低下します。

また、一部の相続人が遺言は無効であると主張する場合に備えて、遺言者に判断力があったことを裏付ける証拠(医師の診断書など)を用意したり、遺言者の日常の様子を日記や動画で記録するなど、証拠を準備する方法も考えられます。

自分で字が書けなくなった方の場合でも、公正証書遺言であれば、公証人が遺言者の署名を代書することも認められています。

公証役場に行くことが難しい場合には、公証人が自宅や病院まで出張し、遺言を作成することもできます。

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