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相続税対策には
①生前贈与
②生命保険の活用
③養子により法定相続人を増やす
④非課税財産の活用
⑤賃貸用建物を建設する
⑥小規模宅地の適用を受ける
などが挙げられます。
以下では生命保険による相続税対策についてご説明いたします。
生命保険金の非課税枠をきちんと使っていますか?
被相続人が死亡し、それにより生命保険金が支払われた場合を考えます。
生命保険金は相続財産ではありませんが、相続税は課せられます。
しかし、生命保険金額のうち、次の非課税限度額については、相続税が課せられません。
(計算式)
500万円×法定相続人の数=「非課税限度額」
したがって、この非課税限度額を多く使えるように生命保険に入れば、大きな節税となります。
「高齢になったのだが、生命保険に入っておらず、非課税限度額を使い切っていない。今からでも、生命保険に入れるのだろうか」、こうしたご不安をお持ちの方はいらっしゃいませんか。
保険商品の中には、一時払い終身保険があります(ただし、保険会社の加入要件を満たす必要があります。)。
一時払いなので、その保険料を加入時に一括で支払います。また、終身保険であるため、どんなに長生きしても、死亡時には必ず死亡保険金が支払われます。
では、この一時払い終身保険に加入して、非課税限度額を使い切った場合には、どれだけ節税できるかみてみましょう。
たとえば、お父さん、お母さん、子ども2人の場合を想定します。
お父さんに相続が発生した場合には、法定相続人はお母さんと子ども2人の計3人です。生命保険金の非課税枠は500万円×3人=1500万円です。
非課税枠を使い切るために、生前にお父さんが、自分を被保険者として、保険金1500万の契約を結んだとします。そして、お父さんが一時払いで、保険料1500万円を支払ったとします。
もし、お父さんに相続が発生した場合には、
①保険会社に、保険料1500万円支払っているため、相続財産が減っています。
②生命保険金1500万円が相続人に支払われ、みなし相続財産になりますが、非課税の範囲内なので、その生命保険金1500万円については相続税はかかりません。
したがって、この例においては、生命保険の非課税枠を使うことによって、1500万円ほど相続財産を減らすことができます。
もしも相続税率が20%だとすると、この保険に加入することによって300万円も節税することができます。
ただし、保険ですので、あくまでも余剰資金がある場合にご検討をしてください。保険料の支払をすることによって日々の生活で困ることがあれば元も子もありません。
非課税枠をきちんと使っている人が行う保険による相続税対策
生命保険金の非課税枠を使った節税策をとった場合、次に以下の方法により節税対策をすることになります。
①まず親(お父さんとします)が子どもや孫に毎年金銭の贈与をします。
贈与することによりお父さんの相続財産が減ります(法定相続人の場合には相続前3年間の贈与は足し戻しされます)。
年間110万円の贈与であれば贈与税がかかりません。
②子どもがその贈与された金銭で、お父さんを被保険者、自分を受取人とした保険契約の保険料の支払を行います。
③お父さんに相続があったときには、保険金が子どもに入ります。
このときには子どもに一時所得として所得税が課税されます。その一時所得の計算式は
〔保険金-支払保険料-特別控除(50万円)〕×1/2
で計算されます。この一時所得が他の所得と合算されて所得税が計算されます。
この方法で、具体的にどのように節税されるか見ていきましょう。
たとえば、年間100万円の保険料を支払い、8年間かけたところでお父さんに相続が発生した場合を想定しましょう。
お父さんの相続税率は20%で子どもの所得税率は20%とします。
お父さんはすでに非課税枠を超える保険に加入しているものとします。
パターン① お父さんが自分を被保険者として保険契約を結んだ場合です。
お父さんが保険料の支払をしているため相続財産は減ります。しかし、すでに非課税枠を超えていますので保険金1000万円に対して相続税が課されます。
この場合の相続税は1000万円×20%=200万円となります。
パターン② お父さんが子どもに毎年100万円贈与を行い、子供がお父さんを被保険者、自分を受取人として保険契約を結んだ場合です。
まず毎年100万円の贈与を行っていることから、100万円×8年=800万円が相続財産から減ります。
しかし3年以内の贈与については相続財産に含まれますので、100万円×3年=300万円については足し戻され相続税が課税されます。この場合の相続税は300万円×20%=60万円です。
次に子どもが契約した保険ですが、この保険によりお父さんの相続財産は増えません。
その代わり子どもに対して所得税が課されます。
その所得税額は(1000万円-800万円-50万円)×1/2=75万円に所得税率を掛けた15万円となります。
したがって相続税60万円と所得税15万円の合計75万円が納税額となります。
このように、パターン①とパターン②を比較すると、お父さんが契約者とした場合(相続税200万円)と子どもが契約者とした場合(相続税60万円所得税15万円合計75万円)では125万円も変わることとなります。
パターン① | パターン② | 差額②-① | |
相続税 | 200万円 | 60万円 | △140万円 |
所得税 | 0円 | 15万円 | 15万円 |
合計 | 200万円 | 75万円 | △125万円 |
また、保険料として使途が決められているため、子どもの無駄遣い防止となります。
さらに、子どもにまとまったお金が入るため納税資金対策としても使えます。
ただし、高齢である親を被保険者としていることから、一般的に保険料が高く、支払保険料総額が保険金よりも高くなる場合もありえますので、保険に入るときには十分注意をする必要があります。
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